いきなり玉砕!!ダートラデビュー秘話

XX年6月。


いつもお世話になっている自動車屋に1台の事故車のハチロクが入庫されていたことから始まる。

自動車屋の主人・Nさんに
「この車を修理してダートラに出ようかと思ってるねんけど、ダブエン(ダブルエントリー)せえへん?」と誘われた。

いや〜、ダートなんて走ったことないっすからねぇ、僕。
と内心喜びながら一応謙遜した。

「せやけど、舗装でドリフトには慣れてるやろ?行けるって!」

そう言われるとノリのいい山口はふたつ返事でその話に乗ってしまうのであった。

板金修理から上がってきたその車に、ガード類、ダートラ用足廻り、LSDを装着して
とりあえずダート仕様」が完成した。

しかし、出場する本人はダート経験の無い状態で競技に参加することになった。
参加したイベントは京都の「ショーナンオフロードエリア」で開催された96年ウエスタンシリーズ第2戦である。



6月16日 イベント当日 晴れ。


準備を終えて完熟歩行とやらを行う。

晴れだというのに路面が濡れている箇所があるのか、ほとんどの人が長靴で完熟歩行していた。

その日は週間天気予報では雨ということだったので事前に長靴を購入していた山口も、せっかく買ったものなので皆と同じ様に長靴を履いて完熟歩行した。

格好だけは一人前のダート野郎だった。しかし、完熟中に皆が口にしている専門用語(ヌタとかフカとか)は理解出来なかった。コースは想像以上にアップダウンがあって、道幅も狭いと感じられた。以前走っていたジムカーナコースを初めて見たときは「ガードレールも無いし、対向車も来ないから峠より安全だ。」と思ったが、ここのコースは

場所によってはコースアウトしたら崖に転落やなぁ、

ガードレールも無いし。(当たり前か)」・・・。


 1本目。


出走順番はダブルエントリーの後走者にしてもらったので前走者の走りを見てからスタート位置に着くことにしたが、やはりFRクラスだけあってドリフトのオンパレード。

でも自分は初心者だし人の車ということもあり「1本目は軽く走ってみるか。」と思ってスタート。

直後のストレートは2速吹け切り程度の距離であった。

舗装では全然問題ないことなのだが、あまりの直進安定性の悪さ(ストレートでソーイングしてしまうほど)に多少戸惑いながらもコーナー立ち上がりも押さえて走ったというか、踏めなかった(涙)ので、難なくチェッカーを受ける。

リザルトを見てみると約15台出走中12位くらいだったか。最下位にはならなかったが、
それでも舗装ではハチロクに2年間乗っているので悔しかった。

「どうやった?」とNさんに聞かれ、「う〜ん、ダートって難しいっすねぇ。」とありきたりな返事しか出来なかったが、「そうやなぁ、あれだけ押さえてたらなぁ。
ダートはとりあえず踏まないとタイム出えへんで。

そう言われたことで、余計に悔しくなってしまった。



 2本目


「レースの雰囲気を一度味わってみたい。」
と軽い気持ちで参加したのだが、1本目を走り終えて「このまま下位に低迷するのは悔しすぎる!」という考えに変わっていた。

「とにかくアクセルを踏むことに専念しよう。」

そう思ったらなぜか1本目よりストレートスピードが伸びているようだった。

2速吹け切る程度であった直線で「ウォンウォンウォン」と回転リミッターがかかった。

これはタイムアップ間違いなしと意気込む!。続くパイロンセクションはパイロンタッチしないように慎重にクリアし、下りのストレートへ。

ここで悲劇?が起こった。
下りストレートでアクセルを踏んで車の姿勢を安定させていたつもりが、パイロンターン後のGがまだ残っており、やや斜めになった状態であった。

それでもアクセルは戻したくなかった。そんな葛藤をしているうちに、車は無情にも壁側へ(反対側は崖だった)向かう。

「おい、おい、おいっ。」と車にツッコんでみてもどうにもならなかった。
そして、そのなだらかな壁を舐めるように視界も斜めになっていく。

ここから目に見える映像はスローモーションへと変わったようだった・・・

ああぁぁぁっっ、危ないって!」と思った時は遅かった。

すでに視界は90度傾いており、右の窓には地面が見えていた。

デビュー戦にして玉砕!! 横転したのであった。

車はフェンダーとドアの一部が凹みドアミラーが外れた程度で済んだが、いきなり周囲の期待も裏切る結果で、なんともカッコ悪いデビューを飾ってしまった。この時ばかりは峠でクラッシュしたときと違って「どないなことを言ったら受けるか?」なんて考える余裕は無かった(^^;;;

しかし、ここで懲りておけば良いものを「次は自分の車で出ます!!」と宣言してしまった。

峠を走っていた頃は車高の高い車には乗りたくないと思っていたのに、我ながら単純なきっかけである。

そして、9月には自分のハチロクをダート仕様にしてダートラに出場してしまうのであった。

まーしー:27歳、ハチロク歴5年。「なにわの峠屋」から去年突然ダートラにデビュー、しかし玉砕多数で実績無し(涙)また、ダートラを始めた事でマシントラブルが続発。この1年半で修理の腕だけはかなり向上したと言われている。

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